相続や住み替えなどをきっかけに、空き家を所有することになった方の中には、
「しばらく住んでいない家の電気は、このままで大丈夫なのだろうか」
「電気を使っていないなら、点検までは必要ないのでは」
と感じている方も多いのではないでしょうか。
実は、空き家は人が住んでいないからこそ、電気設備の異常に気づきにくく、漏電や火災といったトラブルが起こりやすい状態でもあります。
この記事では、空き家でも電気設備点検が必要な理由をはじめ、点検しておきたい具体的な項目や注意点、専門業者に相談すべきタイミングまでを、わかりやすく解説していきます。
空き家でも電気設備点検は必要?

「誰も住んでいないのだから、電気設備もそのままで問題ないのでは」と考えてしまう方は少なくありません。
確かに、日常的に電気を使っていなければ、トラブルが起きにくいように感じるかもしれません。
しかし実際には、空き家だからこそ注意すべき電気設備のリスクが存在します。
人の出入りがない住宅は、異常に気づくきっかけが少なくなります。
そのため、トラブルが起きても長期間放置されやすく、被害が大きくなりやすいのです。
住んでいなくても危険はゼロではない
空き家は「使っていない=安全」というわけではありません。
むしろ、管理の目が行き届かないことで、電気設備にとっては厳しい環境になりがちです。
たとえば、ブレーカーを落としたままでも、配線や機器そのものは建物内に残っています。
これらは時間とともに劣化し、知らないうちに危険な状態へ進んでいることもあるのです。
電気を使っていなくても劣化は進むの?
電気設備の多くは、通電していなくても経年劣化が進みます。
配線の被覆が硬くなったり、内部の金属部分がサビたりと、目に見えない変化が少しずつ積み重なっていきます。
特に空き家は、窓を閉め切った状態が続きやすく、換気不足になりがちです。
その結果、室内に湿気がこもり、結露やカビが発生しやすい環境になります。
湿気は電気設備にとって大敵のため、漏電やショートのリスクを高める要因となるのです。
さらに、長期間点検されていないことで、小さな劣化や異常が見逃されやすい点も問題といえるでしょう。
空き家で起こりやすい電気トラブルとは
空き家では、特有の電気トラブルが起こりやすい傾向があります。
代表的なものとしては、配線の劣化による漏電、分電盤やブレーカーの故障、ネズミなどの害獣による配線被害が挙げられます。
これらのトラブルは、居住中であれば「ブレーカーが落ちる」「焦げ臭い」といった異変に比較的早く気づけます。
しかし空き家では、異常が発生しても誰にも気づかれず、長期間そのままになってしまうケースが少なくありません。
その結果、小さな不具合が大きな事故につながる可能性が高まってしまいます。
だからこそ、空き家であっても電気設備点検は重要なのです。
空き家の電気設備点検を怠るとどうなる?

空き家の電気設備点検を後回しにしてしまうと、思いがけないトラブルにつながることがあります。
住んでいない住宅は異変に気づく機会が少なく、問題が発覚したときには被害が大きくなっているケースも珍しくありません。
電気設備は静かに劣化が進むため、「何も起きていない今」こそ注意が必要なのです。
火災・漏電・近隣トラブルのリスク
点検されていない電気設備では、漏電やショートといった事故が起こる可能性があります。
これらのトラブルは突然発生するものではなく、小さな異常が積み重なって表面化することが多いのが特徴です。
空き家の場合、異常が起きても誰も気づかず、被害が拡大しやすい点が大きなリスクといえるでしょう。
漏電やショートによる火災の可能性
経年劣化した配線や接触不良があると、電気が流れた際に発熱や火花が生じることがあります。
この状態が続くと、周囲の木材や断熱材に引火し、火災へ発展する恐れがあります。
誰も住んでいない空き家で火災が起きると、発見が遅れやすく、初期消火ができないまま被害が広がってしまうこともあります。
ネズミ・害獣による配線被害
空き家は人の気配が少ないため、ネズミや小動物が侵入しやすい環境になります。
天井裏や床下に入り込んだ害獣が配線をかじることで、電線の絶縁が破れ、漏電やショートを引き起こす原因になります。
こうした被害は外から確認しにくく、点検を行わなければ発見が遅れてしまいがちです。
近隣への損害責任が発生するケースも
空き家の電気トラブルが原因で火災や停電が発生し、近隣住宅へ被害が及んだ場合、所有者が責任を問われる可能性があります。
「使っていなかった」「誰も住んでいなかった」という理由だけでは、管理責任を免れないのが現実です。
空き家の管理には、建物だけでなく電気設備の安全確保も含まれるということを理解しておく必要があります。
空き家で点検しておきたい電気設備の主な項目
空き家の電気設備点検では、闇雲にすべてを確認する必要はありません。
重要なのは、事故やトラブルにつながりやすいポイントを押さえて点検することです。
特に長期間使用されていない住宅では、劣化が進みやすい箇所を重点的に確認する必要があります。
最低限チェックすべきポイントを整理
電気設備は住宅全体に張り巡らされているため、一部だけを見ても安全かどうかを判断することはできません。
そのため、分電盤から屋内外の配線、アースの有無まで、要点を押さえて全体を確認することが大切です。
分電盤・ブレーカーの状態
分電盤は、住宅全体の電気を管理する中枢となる設備です。
カバーを開けた際にサビや焦げ跡がないか、異音や異臭がしないかを確認します。
ブレーカーがスムーズに上げ下げできるかどうかも、重要なチェックポイントです。
また、築年数の古い住宅では、分電盤そのものが現在の安全基準に適合していない場合があります。
このようなケースでは、点検とあわせて交換や改修を検討する必要が出てくることもあります。
屋内配線・コンセント・スイッチ
屋内のコンセントやスイッチは、日常的に使われる設備であるため劣化しやすい部分です。
ぐらつきがないか、焦げたような変色が見られないかを目視で確認します。
見た目に問題がなくても、内部で接触不良が起きているケースもあるため注意が必要です。
特に空き家では、長期間使用されていないことで内部の金属部分が酸化し、再通電時にトラブルが起きることもあります。
異常を感じた場合は、無理に使用せず専門業者に相談するのが安心です。
屋外配線・引込線・電力量計まわり
屋外に設置されている配線や引込線は、雨風や紫外線の影響を直接受けるため、劣化が進みやすい場所です。
被覆がひび割れていないか、配線がたるんでいないかを確認します。
また、電力量計まわりは普段あまり目にしない場所ですが、固定金具の緩みやサビが発生していることもあります。
屋外設備の不具合は、漏電や停電につながる恐れがあるため注意が必要です。
アースの有無と接地状態
古い住宅では、アースが設けられていない、あるいは適切に接地されていないケースも少なくありません。
アースは、漏電時に電気を地面へ逃がし、感電や火災を防ぐ重要な役割を担っています。
特に空き家を再利用する予定がある場合や、将来的に賃貸や売却を検討している場合は、アースの有無と接地状態を早めに確認しておくと安心です。
電気を止めている空き家でも点検は必要?

空き家を管理する際、「ブレーカーを落としているから電気設備は安全だろう」と考える方は多いものです。
確かに通電していなければ、日常的な電気トラブルは起こりにくいように感じられるでしょう。
しかし、通電していない状態と、電気設備が安全な状態であることは、必ずしも同じではありません。
電気を止めている空き家でも、設備そのものは建物内に残り続けています。
そのため、目に見えない部分で劣化や異常が進行しているケースもあるのです。
「通電停止」と「安全」は別の話
ブレーカーを落としている状態は、あくまで電気を流していないだけの状態です。
配線や分電盤、コンセントといった電気設備自体が健全であるかどうかは、別の問題になります。
特に空き家では、長期間点検されないまま放置されることが多く、異常に気づく機会が少なくなりがちです。
その結果、「再び使おうとしたときに初めて不具合が分かる」という状況になりやすいのが実情です。
安全を確認する意味でも、通電停止中であっても点検は重要といえるでしょう。
完全に電気を止めている場合の注意点
通電していないからといって、電気設備の劣化が止まるわけではありません。
配線の被覆は時間とともに硬化し、湿気や温度変化の影響を受けて劣化が進んでいきます。
また、空き家は害獣が侵入しやすく、配線をかじられる被害が起こることもあります。
これらの問題は、電気を止めている間には表面化しにくいのが特徴です。
しかし、再び電気を使い始めた瞬間に、一気にトラブルとして現れることがあります。
再通電時に起こりやすいトラブル
長期間使われていなかった電気設備を再通電すると、
ブレーカーがすぐに落ちる、異音や異臭が発生する、一部の回路だけ使えないといった問題が起こることがあります。
これは、内部の接触不良や劣化が原因で、正常に電気を流せなくなっているためです。
こうしたトラブルは、使用を再開してからでないと気づきにくく、場合によっては漏電や火災につながる恐れもあります。
事前に点検を行っておくことで、安心して再通電できる状態を整えられるというわけです。
空き家の電気設備点検は自分でできる?

空き家を管理していると、「専門業者に頼む前に、自分で確認できることはないだろうか」と考える方も多いでしょう。
実際、すべてをプロに任せなければならないわけではなく、所有者自身が対応できる確認作業も存在します。
ただし、電気設備には法律と安全のルールがあり、できることと、やってはいけないことを正しく区別する必要があります。
DIYで確認できること・できないこと
空き家の電気設備点検において、目で見て異常がないかを確認する作業であれば、DIYでも対応できます。
一方で、配線や内部構造に関わる作業は、電気工事士の資格がなければ行えないと定められています。
無理に自分で判断しようとせず、あくまで初期確認にとどめることが、安全な点検につながります。
目視で確認できるチェックポイント
ブレーカー周辺に焦げ跡や変色がないか、異音や異臭がしないかを確認します。
コンセントやスイッチに割れやぐらつきがないかを見ることも、所有者自身で行えるチェックです。
また、屋外に露出している配線についても、被覆のひび割れや外れがないかを目視で確認しておくとよいでしょう。
これらの確認は、異常の兆候に早く気づくためのものです。
少しでも違和感がある場合は、無理に触れず、専門業者に相談することが大切です。
電気工事士でなければできない作業
配線に直接触れる作業や、電圧・絶縁状態などを測定機器で確認する点検は、電気工事士の資格が必要です。
これは感電や火災といった事故を防ぐために設けられている重要なルールです。
無資格での作業は、かえって危険を招く可能性があるため注意が必要です。
DIYで無理をするよりも、専門業者に任せることで安全性と確実性が高まります。
空き家の電気設備は、自己判断を避け、適切なタイミングでプロに相談することが安心につながるのです。
専門業者に電気設備点検を依頼するメリット
空き家の電気設備点検は、見た目だけで安全性を判断することが難しいため、専門業者に依頼するメリットが大きい分野です。
自分で確認できる範囲には限界があり、判断を誤るとかえって危険を見逃してしまうこともあります。
その点、電気の知識と経験を持つプロに任せることで、より確実な安全確認が可能になります。
プロに任せることで安心できる理由
電気設備点検を専門業者に依頼すると、所有者自身では気づきにくい小さな異変や、将来的にトラブルにつながる兆候を早期に発見できます。
電気は目に見えない部分で異常が進行するため、経験に基づいた判断が大きな安心につながります。
また、専門業者であれば、法律や安全基準を踏まえたうえで点検を行うため、「この状態で使い続けても問題ないのか」という判断も明確になります。
不安を抱えたまま管理を続けるよりも、プロの意見を聞くことで安心感が得られるでしょう。
見えない劣化や危険箇所を発見できる
専門業者は、配線の状態や接続部の様子だけでなく、測定器を使って電圧や絶縁状態などの数値を確認しながら点検を行います。
これにより、見た目には問題がなくても、内部で進行している劣化や異常を把握することができます。
こうした見えないリスクを早い段階で見つけることで、漏電や火災といった重大事故につながる前に対処できる点は、大きなメリットといえるでしょう。
結果的に、被害や修理費用を最小限に抑えることにもつながります。
必要な補修・工事の優先順位がわかる
電気設備の点検で不具合が見つかった場合でも、すべてを一度に直さなければならないとは限りません。
専門業者に相談することで、「今すぐ対応が必要な箇所」と「しばらく様子を見ても問題ない箇所」を整理してもらえます。
優先順位が明確になることで、無理のないスケジュールや予算で補修や工事を計画しやすくなります。
長期的な空き家管理を考えるうえでも、プロの判断を取り入れることは大きな助けになるでしょう。
空き家の電気設備点検はどこに相談すべき?
空き家の電気設備点検は、どこに相談するかによって安心感や結果が大きく変わります。
電気設備は専門性が高く、誤った判断や不十分な確認では、かえってリスクを見逃してしまうこともあります。
だからこそ、信頼できる相談先を選ぶことが、空き家管理において非常に重要なポイントになります。
業者選びで失敗しないために
電気設備点検を依頼する際は、必ず資格を持つ電気工事業者に相談することが大切です。
無資格や専門外の業者では、表面的な確認にとどまり、本来チェックすべき危険箇所を見落としてしまう可能性があります。
「点検したはずなのに後からトラブルが起きた」という事態を防ぐためにも、業者選びは慎重に行う必要があります。
資格を持つ電気工事業者を選ぶ重要性
電気工事士の資格を持つ業者であれば、法律や安全基準に基づいた正しい点検を行うことができます。
配線や分電盤の状態を適切に判断し、現状に応じた具体的なアドバイスが受けられる点も安心材料です。
必要に応じて補修や改修工事まで一貫して相談できるため、点検後の対応に迷わず進められるでしょう。
「電気屋さんマップ」を活用するメリット
「電気屋さんマップ」では、全国の信頼できる電気工事業者を地域別に探すことができます。
資格や実績を持つ業者が掲載されているため、初めて電気設備点検を相談する方でも安心して利用しやすいのが特徴です。
掲載業者とは直接やり取りができるため、空き家の状況に合わせた点検内容や費用について、納得できるまで確認できる点も大きな安心ポイントといえるでしょう。
【空き家の活用予定別】電気設備点検の考え方
空き家の電気設備点検は、今後その家をどのように活用するかによって考え方が変わります。
売却、賃貸、解体といった目的ごとに、確認すべき範囲や優先順位が異なるためです。
活用予定を明確にしたうえで点検を行うことで、無駄のない対応につながります。
売却・賃貸・解体前で異なる注意点
売却を予定している場合は、引き渡し後のトラブルを防ぐ視点が重要になります。
賃貸として活用する場合は、入居者の安全確保が最優先となり、より丁寧な点検が求められます。
解体を予定している場合でも、工事前の安全確保という観点から電気設備の確認は欠かせません。
売却前に点検しておくと安心な理由
売却前に電気設備点検を行っておくことで、引き渡し後に不具合が見つかるリスクを抑えられます。
事前に状態を把握しておけば、修繕を行うか現状を説明するかの判断がしやすくなります。
電気設備が適切に管理されていることは、買主にとっても安心材料となるでしょう。
結果として、信頼性の高い物件として評価されやすくなり、売却手続きをスムーズに進めやすくなるケースもあります。
賃貸予定なら必須となる点検内容
賃貸として空き家を貸し出す場合、電気設備の安全性は特に重要です。
入居後に漏電や停電が起きると、入居者の生活に直接影響し、トラブルに発展しやすくなります。
そのため、分電盤や配線、コンセントを含めた電気設備全体の点検は欠かせません。
入居者が安心して生活できる環境を整えるためにも、専門業者による事前点検を行っておくことが大切です。
まとめ
空き家は使われていないからこそ、電気設備の異常に気づきにくい状態になりがちです。
見た目に問題がなくても、配線の劣化や害獣被害などが静かに進行していることもあります。
そのため、「何も起きていない今」こそが、点検を行う最適なタイミングだといえるでしょう。
早めに点検を行っておくことで、火災や漏電といった重大なトラブルを未然に防ぐことができます。
結果として、修繕費用や管理の手間を最小限に抑えることにもつながるのです。
「そろそろ一度見てもらったほうがいいかもしれない」と感じたら、無理に自分で判断する必要はありません。
地域の電気工事業者に相談することで、空き家の状況に合った点検やアドバイスを受けることができます。
「電気屋さんマップ」を活用すれば、お住まいの地域に対応した信頼できる業者を見つけやすく、気軽に相談できるのも安心材料です。














